台風15号被害の爪痕

 久しぶりに関東に上陸した台風15号。ニュースで渋谷の街路樹が倒れた映像を見たりしていましたが、自分たちの山でも同様なことが起きてしまいました。たまたま視察のアテンドがあり、作業メンバーと一緒に周遊道を案内していたところ、周遊道の約半周あたり、尾根から北向き斜面側に少し下った場所にある、コナラの大木が根ごと引き倒れた状態に。

























 胸高直径が54㎝、樹高がおおよそ20mが簡単に倒されていた状況にただただ唖然…。足場などの周辺の安全を確認し、とりあえず状況を簡単に記録していて感じたのは、以外に根張りが浅く、広がりが少ないこと。それに比べ地上部の幹や枝張りがしっかりしているので、強風をモロに受ければもたないかも…と思ってしまった。

























 風倒木は結局ここだけで済むわけがなく、ナラ、サクラがドミノ倒しのようになった所、単独で倒れている場所等含め、6箇所が確認でき、周遊道上にあり枝が折れて振下がっていて危険と思われる立木も数本確認できた。

























 今回の被害を地形や土壌、台風襲来時の現地の風向きなど調べ、今度の森林整備活動に役立てるためのデータを作ることが出来ると思っている。同時に安全にこれらの風倒木を処理しなくてはならないのと、莫大な量の材をなんとか有効に利用できないか?ということも考えなくてはならない。なんとなく「リアル林業」の状況になってきた……。

重機を借りて作業道作り

 森林整備作業の効率化を図るため、重機を使ってチッパーシュレッダーが安全に自走できる作業道を付けました。全長約70m、幅員が約2.5mで、軽トラでも問題なく入れます。この先にある谷間の平地には、もやかきや除伐で生じた残材があり、効率よく処理するためにはチッパーシュレッダーを集積場所まで近づける必要がありました。これで一気にチッパー作業が進みます。

























 今回借りていた重機は、ザウルスロボという名前のバケット機能にグラップルは付加されたもの。一件優れもののように思いましたが、「まあ、こんなものかな?」といった感想……。それでも本格的な林道敷設作業ではなかったので大きな不満はありませんでした。

























 道を付けながら、橋の修繕用に残してあった間伐材を拾い集め、ちょっとひ弱なグラップルを使い橋の幅員拡大作業も完了。ただ太さが揃っていないのでこれでは歩きにくい。後日踏み板を追加して、リニューアルする予定です。

























 都合5日間でしたが、予定していた作業内容を無事にこなしました。今後の活動での重機導入は大いに可能性があることが確認できましたが、それに伴って高額なリース料が掛かることは事実。助成金などを有効に活用していきながら、もう少し森の整備を進めていくためにも、重機を有効に使えるように出来ればと思っています。

バイオトイレカーの脱臭装置をカスタマイズ

 この日は雲行きが怪しいかった事もあり、通常の森林整備作業ではなく使用機材、設備メンテナンスとなりました。その対象となったのがバイオトイレカーです。2週連続でイベントがあり、大活躍してくれましたが、そろそろ処理するための分解菌が定着している基盤(おが屑)が変色していて、効果が怪しくなってきました。















 同時に脱臭装置も能力が低下しているからか、臭いがこもるようになってきています。とりあえず基盤のおが屑交換は後回しにし、脱臭装置のチェックをすることに。説明書では脱臭用のブロックが入っているとの記述があり、さぞ特殊なモノが使われているに違いないと思って装置を分解すると、そのブロックは製材端材をサイコロ状にしたようなモノでした。

























 そっくりそのまま交換するなら、製造メーカーへ注文することになるのですが、ここはちょっと実験ゴコロに火がついてしまいました。そう、以前この活動ブログでも紹介した、竹炭を入れてみたらどうだろう? と思い立ったのです。たださすがにブロック全量と置き換えるほどの量が無かったため、ブロックと竹炭を交互にしてみました。

























 さてその効果の程は…? 残念ながら、しばらくは利用がありませんので、経過報告はまた後日このブログで発表します。この方法が上手くいけば、製造メーカーに売り込んでみようかと思います。

聞き書き甲子園の高校性が来森

 前回に引き続き、高尾100年の森でのイベント利用の受け入れ日でしたが、高尾メンバーが講師役も務めて、今回来森した「聞き書き甲子園」の高校性に森の説明をしたり、簡単なクラフトの指導といった内容を行いました。
 午前と午後に別れ、総勢70人ほどが周遊道を周りながら、3箇所のチェックポイントで待ち構えるメンバーのところで、クイズ形式で森について話すという感じだったのですが、高校性が回ってくるまではちょっと「暇」だったので、待機していた尾根道から外れて、周囲の観察や簡単な整備などしていました。 

 














 そうすると、去年整備した常緑樹の多い斜面からはキノコがたくさん出ているのを発見! それもちょっと毒々しい色合いのキノコたちがいたるところからニョキニョキと……。鮮やかな黄色のキノコは「イグチ」という種だと思われますが、このキノコが食べられるかはわかりません。
 さらには赤くて美しい形のキノコも発見。毒キノコでも有名な「テングタケ」と同じ種の「タマゴタケ」らしいのですが……。もしタマゴタケならば、とても美味しいらしいく結構有名だとのこと。しかし大丈夫だという確証が取れません。残念ながら観賞するだけにしておきました。


















 




















 さて聞き書き甲子園は、高校生が日本各地の農林漁業といった分野で活躍する「名人」の技術や働く姿にふれ、それぞれルポルタージュ記事を書くといったもの。その予行練習としてブリ縄での木登り名人、小峰さんの見事な木登りをみんなで見学しました。体験したい人男女2人が名人を手ほどきを受けながらも、一段をやっと登るといった具合。自分も昨年体験しましたが、そんな簡単にはいきません。でも2人は良い経験になったでしょう。
























 
 先週同様に午後からは遠くで雷が聞こえてくるものの、近づく気配もなく無事全行程が終了。大きなトラブルもなくホッとしました。これで夏のイベントは終了。季節の良い秋までしばらくは定例作業の日々になります。

ワークショップの受け入れ

 この日はS.A.I.という、舞台美術関係の団体主催のワークショップが行われました。ワークショップ自体は土日なので、森の作業メンバーはワークショップの対応と、通常作業に別れましたが、3人だけの作業で11段分の階段作りを敢行!かなりハードな作業内容になりました。















 午前中からほぼ無風状態で、気温も湿度も高く、今回の作業箇所はそれほど標高もないこともあって、気持ちのいい風も吹いてきません。おかげで動くごとに大汗をかく状態。頻繁に水分補給と休憩を入れ、何時もより少し長い時間を延長して作業をしました。

























 一方ワークショップはメインフィールドを自由に使ってもらい、「森」をテーマにパフォーマンスや、舞台美術についての課題が各ナビゲーターから与えられて、参加している皆さんは身体をフルに使い、ノビノビとワークショップを行っていました。















 初日の講評の時、参加者からの話で印象的だったのが、音の聞こえ方やものの見え方が、都市空間での感じかたとは違うという指摘。また、何処か外国行った時と同じ感覚になるとの感想のふたつについて。自分にとっては日常の空間なのですが、参加者からは非日常空間なのでしょうね。多くの参加者は最初は戸惑いながらも、徐々に身も心も「自然」に順応していたようです。
























 
 このようなご意見やお話しを聞くと、これからの活動において、森の違った可能性も引き出していく必要があるのでは?と考えさせられます。確かに森林整備も大切ですが、森の良さを知ってもらえることも必要ですね。

遊歩道のチェックと林班踏査

 この日は午前中から降水確率が高かったので、遊歩道の改良、修復作業など土木作業をせず、遊歩道全週で安全に歩くことが出来るかのチェックをしました。事前に竹杭を作り、その杭をチェック箇所に打っていくのですが、以外と倒木や浮き石が多い事に気付きます。その場で動かせるものは歩きに支障が無いようにしておきます。

 数人で足下に注意を注ぎながら歩いていると、「ここには階段が必要なのでは?」という箇所が新たにでてくるものですね。増設と新規の計画で総階段数は60段くらいになるでしょうか。こうして土木作業を必要とする箇所は必要に応じて増えていきます。

























 チェックの途中、ちょっと気になる尾根道をみんなで歩いて行くと、人工林に囲まれた落葉広葉樹が広がるエリアへ分け入り、そのまま歩いて行くと手入れのされたヒノキ林に出ました。何時も通っている林道から林冠部分が見えている場所なのですが、実際に林内に足を運ぶと適度に間伐された明るい林でした。周囲に複数の所有者が入り組む山なので、このように「他人」の山を見ると、良くも悪くも刺激を受けます。

























 こちらも間伐をする予定ですが、一部はかなりの年数放置されていた状態の林班なので、普通より作業が大変だと考えています。また所有者と境界がハッキリしない箇所も多くあるので、丁寧に処理する必要があるでしょう。

遊歩道整備

 高尾100年の森には、尾根道を利用した遊歩道があります。2007年に整備を始めたころからある階段などは、一部傷みも出始めてきたので補修をしなくてはなりません。まず適当な太さの間伐材で杭を作ります。ひたすら鉈を使って先を尖らせるだけの作業なのですが、時間が経つと鉈を振るう右手がだんだん重くなってきます。階段の蹴上げ部分も、もちろん間伐材を利用します。蹴上げの材はこれまでの経験上、太いもなら長持ちするのは確認済みですが、作業のし易さなど考えると必ずしも適応出来ない場合もあります。今回は設置のための持ち運びを考慮し、あまり太く重い材は使わないようにしました。














 
 今回の補修箇所は、尾根をそのままトレースするルートだと急傾斜になってしまうので、そのままでは安全に上り下りすることができないと判断。一部等高線に沿った道を加えていきながら、階段の補修と新設していく作業となりました。ルート取りは安全に歩けるとことはもちろんなのですが、ランドマークになる高木を意識して歩くようにし、その高木越しに見える景色の変化を楽しめるようにしてみました。道とはいえ「溜まり場」的空間を作っておくことで、休憩をしたり遊び場となるような場所作りも大事なのかも知れません。















 普段チェンソーや刈り払い機といった「動力機械」を使っていることが多いので、今回のようなパイオニアツールでの作業もたまには初心に返っていいですね。ただしその後は筋肉痛という「おまけ」がついてきますが……。















 来月に聞き書き甲子園の研修場所として高校生、秋には新宿の小学校が遠足でこの山に来てくれます。訪れてくれる皆さんに少しでも快適に利用してもらい、楽しんでくれるような森にするため、このような環境整備作業も地道に進めています。